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メタボリック・シンドローム

2011年8月26日 (金)

炭水化物の誘惑

人間ドックでの血液検査、内臓脂肪CT、超音波検査を通して炭水化物を多く摂りすぎている方が多いことが分かってきました。

具体的に炭水化物の過剰摂取による体内の変化を挙げてみましょう。

1、中性脂肪の上昇                    

血液中の脂質で健康に関係するものにコレステロールと中性脂肪があります。中性脂肪はアルコール、炭水化物の過剰摂取で上昇してくる傾向があります。最近は両者による中性脂肪上昇がよく見られます。

2、皮下脂肪量の増加                                      

女性の皮下脂肪は男性と比較して多いのが普通です。痩せている女性でも皮下脂肪は意外に多くあります。へその部位で内臓脂肪を測定しますが、皮下脂肪量も同時にわかります。当院の健診や人間ドックを受けていただく際に、食事・運動の内容とパターン、飲酒、喫煙、家系、職種、通勤での歩行時間、睡眠時間等についてあらかじめアンケートと口頭での確認を欠かさずしています。 これによりカロリー摂取と消費、筋肉の使用量、疾患の発病のし易さを推測し結果説明と同時に行っている生活のご指導に役立てています。 その結果、炭水化物摂取の多い男性においては皮下脂肪が多いことが分かってきました。

3、脂肪肝  

脂肪肝はこれまでアルコールが原因の筆頭に挙げられていました。しかし、近年飲酒しない方の脂肪肝が増加しています。特に男性での発症率はうなぎ登りです。 超音波検査で診断できますが、その日に健診を受けた男性全員が脂肪肝であったということが珍しくなくなってきました。必ずしも肥満がない方でも飲酒が多いあるいは炭水化物に食事が偏っている方では頻繁に見られます。

炭水化物はどんな食品に含まれるかというと、米、小麦、砂糖、果物が代表的です。もちろん脂肪、蛋白質と並んで必要な栄養素ですので摂取するのは当たり前ですが、問題はおいしいので食べ過ぎてしまうことなのです。       

日本人は大変まじめな民族でどんなこともがんばって極めてしまう傾向があります。炭水化物の含む食品ーうどん、ラーメン、つけ麺、ピザ、パスタ、パン、ごはん、果物。どれをとっても世界最高レベルの味に到達してしまいました。加えて安価で店も多く、その気になればいつでも食べられる環境です。

とある人気のラーメンチェーンではトッピングを全部すると1杯で2600Kcalに及ぶとされています。ファンがたくさんいるそうですが、さすがに彼らも昼に食べると夕飯は抜くようです。

景気の低迷も影響しているのか食べ放題、飲み放題の設定を導入する店舗が増えています。チューハイやビール、ワインは特に炭水化物を多く含みますので、相乗効果で脂肪肝の原因となりやすいといえます。

脂肪肝はこれまで発症も少なく軽症例が多かったのですが、発症も重症度も上がるにつれ慢性の肝機能障害や肝硬変も見られるようになってきました。そして、一番の問題はメタボリック・シンドロームの発症の予備段階であることです。20代、30代の男性の脂肪肝はいまや珍しくなくなってしまいました。早い段階でメタボとなることは早く老化が始まることを意味します。

若いのに中身はおじさん。こんな男性が急増しています。

それでは、どうしたらいいのでしょう。次回じっくりご説明します。

2011年4月15日 (金)

男子厨房に入るべし

人間ドック当日の結果説明で必要がある場合は食事指導をしています。多くの男性は食事に問題を抱えています。その際に、男性でもご自分で料理をすることをおすすめしています。

独身の一人暮らし、単身赴任あるいは共稼ぎで外食の機会が多い方は、ほぼ例外なく食事が偏ってしまいます。ラーメン屋、牛丼屋等で簡単におなかを満たしてしまったり、コンビニの惣菜、弁当で済ませるパターンになっていないでしょうか。

解決の方法は、少し大変ではありますがやはり自炊することです。

外食ではなかなか摂れない野菜も自分で料理をすればいいわけです。でも、料理の経験はあまりなくて・・・とおっしゃる方が多いのも事実です。

そこで、おすすめはクックパッド http://cookpad.com/

すでに有名ですが、素人が自分のレシピを公表して自慢(?)するおもしろいサイトです。食材は普通にスーパーで売っているものばかり、作る手順がシンプルで味に失敗がないのが特徴です。旬の食材をフューチャーしたり、「つくれぽ」という実際に調理してみてどうだったかを報告する人気コーナーがあったりどんどん充実してきています。

おすすめする最大のポイントは簡単なのにおいしいいこと。写真付きの手順通りに作るだけです。10個くらいの好みのレシピが自由に作れるようになれば当分は使いまわしできます。

外食に比べれば安くてヘルシーなことは間違いありません。独身のうちに料理が出来るようになっていると、結婚してからも共稼ぎだったり奥様が妊娠・子育て等で忙しい時には株が上がるでしょう。

今後、おすすめのレシピがありましたらご紹介してゆきたいと思います。

2011年4月 5日 (火)

メンデルスゾーンの死因

裕福な銀行家の過程に生まれ育ったメンデルスゾーンは、若くして才能を発揮し各国の王族に寵愛されまさに次代の寵児でした。しかし、一族は早逝の家系で祖父、父親ともに60歳代で4歳年上の姉は42歳で亡くなっていました。1847年、38歳の時にメンデルスゾーンは頭痛、手のしびれを発症し一時的な回復の後に強い頭痛を訴え亡くなりました。

一族が同じような脳卒中の発作で亡くなっていることを考えると、家族性の高血圧症、遺伝性のう胞腎、脳動脈奇形、高脂血症等が病因と考えられます。死亡時のメンデルスゾーンの症状からはこのような基礎疾患が原因でクモ膜下出血を起こした可能性が高いといえます。

血圧計が発明されたのは1896年で、この頃には血圧と脳卒中の関連、クモ膜下出血の原因である脳動脈瘤の存在などは分かっていませんでしたし、治療法もありませんでした。

現代でしたら一度目の発作の時点で動脈瘤の処置をして、血圧や脂質のコントロールをすることで救命できたことでしょう。

不治の病は今でもたくさんありますが、死因となっている疾患の過半数は予防も治療もできるものです。そのような状況で、現在の日本での健康診断の受診率が3割弱しかないということは、大変もったいないといえるでしょう。

予防と早期診断、的確な治療 ー 大切ですね。

2011年4月 1日 (金)

がんばるとこんな効果がー消えた脂肪

継続して毎年人間ドックを受けていただくリピーターが多くいらっしゃいます。

ドック受診当日にいろいろ生活パターンのご指導をさせていただきますが、効果の度合いは大きく差が出ます。

今日は特に1年間で効果が明らかだった方を紹介させていただきます。

上が当初の内臓脂肪CTの画像です。下が1年後(正確には10カ月後)の画像です。

1

食事療法と運動で筋肉量を落とさずに皮下脂肪、内臓脂肪の両方を減らすことに成功しています。体重は110Kgから77Kgになりました。内臓脂肪の面積は145c㎡から12c㎡に減りました。高LDLコレステロール血症、高血圧症があったのですが、正常値になっています。

30代とお若かったこともあって厳しくご指導させていただきました。内臓脂肪、皮下脂肪が多くすでに生活習慣病を発症されているわけですので問題だったわけです。実はその1年前にもドックを受診され1年間でかえって体重が増えてしまっていたのでした。

生活習慣を変えることは難しいことです。目的意識を持って地道に気を付けてゆくしかないですね。

2009年12月19日 (土)

やせていれば大丈夫?

肥満によるがん発生リスクの増加は、男性の大腸がん、腎がん、閉経後の乳がん、子宮体がん、肝臓がんなどで証明されています。肥満はメタボリック・シンドロームの最大の原因でもあります。まさに肥満は万病の元ですね。

そうすると、肥満がなければ、あるいは痩せているほど健康でいられるのでしょうか。

実際に、現代のように飽食、運動不足がまん延している状態では痩せている方が病気のリスクは減る傾向があるのは確かです。しかし、やせすぎによって栄養不足を来せば免疫力が弱まり感染症を引き起こしたり、血管の壁をもろくして脳出血を起こしやすくしたりすることも考えられます。一般には悪者と考えられているコレステロールも少なすぎれば血管はもろくなるのです。

最近の調査ではBMIが男性は23~27,女性は19~25の方が長生きする傾向でした。それ以上太っていても、やせていても、死亡リスクが高くなるということが分かっています。ご自身のBMIを確認してみてください。

何事も過ぎたるは・・・ということでしょうか。

2009年12月 2日 (水)

腹囲と内臓脂肪は比例しないことがあるんです

実は、腹囲が基準を超えていても内臓脂肪が少ない方が意外にたくさんいらっしゃいます。これはどういうことなのかを説明いたします。

当院の人間ドックでは内臓脂肪をCT正確に測定します。皮下脂肪、筋肉量、内臓脂肪を画像で識別し面積を算出できます。

しばしば見られるのは、腹囲が大きくても皮下脂肪優位に蓄積するタイプの方は内臓脂肪は多くないという現象です。特定検診で腹囲を減らしなさいと言われていて当院の人間ドックでは内臓脂肪量が問題ないということがよくあるのです。

女性では内臓脂肪よりも皮下脂肪がメインに付いてしまう方が多い傾向です。ですから女性の方が男性より腹囲の上限が5cm上回ってもいいということになったのです。

男性において、皮下脂肪は炭水化物の摂取の多い方で増加しやすいようです。炭水化物の代表は米、小麦、砂糖の3つです。このような男性は腹囲が大きくなりますからメタボに注意してくださいということになります。ですが、内臓脂肪は少ないので問題はあまりありません。

実際、皮下脂肪優位で腹囲が多い男性においては生活習慣病は少ないことを実感しています。

腹囲は大きいが検査では異常がないという方は、皮下脂肪優位型の可能性が高いとお考えください。

メタボでなければ大丈夫ーとはいえません

メタボリック・シンドロームに該当するのは以下の条件が必要です。ご存知とは思いますが確認させていただきます。

1、腹囲が男性85cm以上、女性90cm以上

2、高血圧症、糖尿病、脂質異常症のうち2項目以上に該当すること

1と2の条件を同時に満たす場合をメタボリック・シンドロームと呼びます。

ここで落とし穴があるのですが、条件2の3つの生活習慣病を発症していても腹囲が基準以内であればメタボリック・シンドロームにはならないことになります。極端なことを言えば重症の糖尿病と高血圧に罹っていても、腹囲が少なければメタボリック・シンドロームとは呼ばれないわけです。

それではなぜ腹囲が問題となるかというと、今後これらの疾患が新たに発症したり悪化する目安となるからです。つまり、現時点ですぐ問題となるのではなくて将来の健康状態の指標となるということです。

以上のことから言えることは、メタボリック・シンドロームに該当するかどうかはもちろん大事ですが、該当しなくても腹囲が基準を超えていたり3つの生活習慣病のいずれかを発症していたら食事療法、運動療法で改善を目指す努力をしていただきたいというになります。

言葉の定義というものは難しいですね。

2009年11月30日 (月)

スポーツで不健康に?

結論から申しあげますと、若いときのスポーツは成人になってからの健康に寄与することは少ないようです。

その原因はなんでしょう。

運動によるエネルギーの消費量が大きいと必要な摂取カロリーもそれに伴って多くなります。そのため現役でスポーツをしているときは過食傾向になります。多くの場合、短時間での早食いの習慣が付いてしまいます。

そして、スポーツをやめた後もその習慣は断ち切りにくいのです。

加えて現在の日本人の運動量は年々減少しカロリー消費がされなくなっています。摂取と消費のバランスは悪化の一途といえます。

私の印象では野球、柔道、ラグビー等はその傾向が強いように思われます。

元スポーツマンの皆さんご注意を!できれば運動を再開してください。

2009年11月13日 (金)

寒いと太る?

正月を越えると平均して体重が2~3Kg増えるといわれています。

原因としてはいろいろなことが考えられます。

秋から冬にかけておいしいものが増えどうしても食べ過ぎてしまう。

忘年会等の会合が増える。

寒くて外に出なくなって運動量が減る。   ・・・等々

多分これらが複合して肥満をもたらすのでしょう。

そのためか血液データが冬に悪化する方が多く見受けられます。

加えて寒くなると血圧が上昇気味になります。当院では高血圧の患者さんには家庭血圧を毎日測定していただいています。夏に比べると10位の血圧上昇を見ます。

結果として、冬は脳卒中の頻度が増えます。

体重増加にご注意を。

2009年10月20日 (火)

肥満でも大丈夫?

医学の常識はめまぐるしく変わっていきます。

特に日本人ではこの20年間に生活習慣、食環境、医療の進歩により健康維持のためのポイントに変化がもたらされました。

最近の研究によると、日本版メタボリックシンドロームの基準を少し超えた人達(BMI:25-29、収縮期血圧:140-159、中性脂肪:150-299)は死亡率が最も低く、非メタボリックシンドロームの人達(BMI:25未満、最高血圧140未満、最低血圧90未満、中性脂肪150未満、HDL40以上、空腹時血糖110未満をすべて満たす人)より死亡率が明らかに低いとういデータが報告されました。

やや太り気味で少しメタボがある方が長生きするということですから、これまでの常識とは大きく異なります。

この原因としてはいろいろなことが考えられます。

基準を少し超えた方達は医療機関で食事指導、運動療法を指示されたり内服治療を開始することになります。医師も放置した場合のリスクを熱心にお伝えもするでしょう。軽いメタボですからその効果は大きいものとなります。

一方、メタボの診断基準に満たない方は若干データが悪くとも軽い注意を受けて終わりとなります。指導は特になくリスク説明もなければ危機感は感じないでしょう。

ホームページでも触れていますが、メタボとがんの原因は共通です。

現在、増加の一途をたどる問題のがんは肺がんと大腸がんです。肺がんは喫煙が8割、大腸がんは肉食、飲酒、運動不足、野菜不足が原因です。

メタボと診断されると、動脈硬化の進行を抑えるために禁煙、食事および運動療法指導が指示され、これはひいてはがんの発症抑制につながります。とすればメタボの生活指導はがん抑制にもなりうるということになります。

これらはあくまで私個人の推測ですがそう外れてはいないと思います。

結局、軽いメタボというハンデがあっても自覚して注意したり、通院して医師の指示を月1回聞いているほうがいいということでしょうか。                              

とは言っても、さすがにBMIが30を超えてくると通院しても疾患の悪化や発症は避けにくいようです。

40歳を過ぎたら、年1回の特定検診、がん検診を怠らないことです。そして、せっかくお受けになった検診、人間ドックの結果を踏まえて生活習慣の改善のきっかけにしていただきたいと思います。

喫煙している方、肥満の高度な方、家系で動脈性疾患やがんが多い方は詳しい人間ドックを受けましょう。

BMI計算式は以下をご参考ください。

http://www.banyu.co.jp/content/patients/check/overweight/bmi.html