Loading

携帯URL

フォトアルバム
Blog powered by TypePad

がんについて

2011年5月18日 (水)

胃がんという病気

 胃がんは最近まで死亡数が第1位でしたが死亡率は減少しつつあり、死亡数は年間5万人程です。5年生存率は全体で7割台となっています。発症を促す原因としてヘリコバクター・ピロリ菌、加齢、喫煙、塩分摂取が挙げられます。粘膜から発症したがんが粘膜下層までにとどまっている状態を早期胃がんと呼びます。早期胃がんの場合、症状はほとんどありません。早期診断のためには40歳を過ぎたら出来れば胃カメラやバリウムの検査を毎年お受けになることが重要です。治療はだいぶ進歩しており内視鏡や腹腔鏡での手術が一般的になってきました。

 がんは不思議な病気で、通常は加齢が最大の原因ですが若くして発病する方も見られます。細胞の悪性度は人によって差が大きく、やはり早期診断が一番といえるでしょう。

以下は「国立がん研究センターがん対策情報センター」のリンクです  がん情報サービスバナー小

生存率   http://ganjoho.jp/public/cancer/stomach/treatment_10.html

診断と病期の基準 http://ganjoho.jp/public/cancer/stomach/diagnosis_03.html

治療法   http://ganjoho.jp/public/cancer/stomach/treatment_01.html

2010年2月 3日 (水)

前立腺がんの診断

PSAという検査を御存じでしょうか。

血液検査で前立腺の状態を調べるものです。中年以降の男性に発症する前立腺肥大や前立腺がんの診断には大変有効です。血液検査でできるのはありがたいのですが、現在のところ検診項目には含まれていないことがほとんどです。

先日、間寛平さんに前立腺がんが見つかり治療を開始すると報道されました。昨春ロサンゼルスを訪れた時の定期検査でPSAも検査して異常値があり、前立腺炎だろうとのことで抗生物質の投与を受け治療していたそうです。昨年12月の再検査でPSAが上昇していたため前立腺の細胞を取る生検検査を受けてがんと診断されました。

前立腺がんは症状が出にくく,多くの場合は発症に気付かないと言われています。あるデータでは他の疾患で亡くなった80歳以上の方の解剖所見で半数以上に前立腺がんが見つかったそうです。

間さんの場合、過酷なマラソンなので頻繁に人間ドックをお受けになっていたのが幸いでした。

故深作欣二監督やプロゴルファーの杉原輝雄さんも前立腺がんに罹られています。

50歳以上の方は人間ドックをお受けになるときにPSA検査を追加するのが望ましいといえます。

2010年1月 8日 (金)

食道がんとの闘い

指揮者の小沢征爾さんが食道がんのため半年間の休養を取られるとの報道がありました。

2007年の統計では男性9900人、女性1769人が食道がんで命を奪われています。がん死亡全体の3.5%を占めます。食道がんの原因は喫煙、飲酒、塩分の多い食品、熱い飲食物、アク抜きの十分でないワラビなどと言われています。塩分や飲酒は量に比例して増加します。熱い茶や奈良の茶粥は食道熱傷を来し関連が指摘されています。

小沢さんの場合は、近親者がお二人食道がんを発病されており遺伝的な要素が強いのではないかと考えられます。主治医の話では表在性の早期のものとのことですから完治は十分期待できるでしょう。

消化器外科医にとっては食道がんはすい臓がんと並んで手ごわい相手と言えます。早期の段階で診断されにくく、ある程度進行していて手術での治療となった場合は長時間の大手術になることが多いからです。今では手術器具や人工呼吸器の改良によって安全性は格段に向上しましたが、20年前まではまさに命がけの手術でした。通常、頚部、胸部、腹部の3つのチームに分かれ手術を開始します。4名から8名ほどの外科医が患者さんの負担を軽減するためにできるだけ短時間での手術を目指すのです。手順は簡単にご説明すると、頚部や胸部の入り組んだ血管や神経を傷つけないように細心の注意をしつつ頚部から胃の上部までの食道を切り取り、胃を筒状に成型するか大腸を切離したものを頚部まで引き上げ食道とつなげ、十二指腸と途中で接合することになります。切離やつなげる(吻合)操作が多く、出血の多い部位でもあり止血にも時間がかかりますからどうしても終了までに5時間から10時間という時間が必要になります。一般の手術と比較すると手術の負担が大きいため、術後も血圧、呼吸などの全身状態の管理、出血、腸液の漏れのチェックなど気を抜くことはできません。手術をうまく乗り越えても術後しばらくしてからの転移や再発が少なくなく、外科医としての無力さを痛感させられることは多々ありました。

小沢さんの場合は早期とのことですので、内視鏡での手術で完治することが期待できます。人間ドックで発見されたそうで、ご本人は人間ドックを受けて良かったとコメントされているそうです。一日でも早く回復されて、ご活躍されることをお祈りしています。

がん撲滅、がん克服というスローガンについて

外科医、健診医としてがんと長年向き合ってきてがんの現状を知る者として、がん撲滅、がん克服というスローガンには違和感を抱かざるをえません。

外科医としての手術による治療と並行して、がん免疫治療を目指してがん関連遺伝子の研究に携わっていました。その経験から言えることは、がんは以下のようにとても巧妙で厄介なものだということです。

・老化、炎症、発がん物質等によって遺伝子レベルの傷が蓄積して発がんする

・正常細胞と比べて増殖が速く急速に増大、進行してゆく

・ある程度の大きさになると転移を起こし複数個所、隣接や遠隔の臓器で増殖する

・抗がん剤、免疫治療、放射線療法を続けてゆくと、完治できない場合は耐性ができて効果が減じてくる

・早期では症状はほとんどなく、進行がんや末期がんになって初めて症状を呈する

・遺伝子そのものに、ある時期が来ると発がんするプログラムが組み込まれている

・遺伝子を操作して発がん、がんの進行を阻止するには、その臓器のすべての細胞の遺伝子に作用しなくてはならず、理論的には不可能といえる

・肝がん(B型C型肝炎ウィルス)、胃がん(ヘリコバクター・ピロリ)、子宮頚がん(パピローマウィルス)は人と人との接触によって感染することで発症する

・免疫治療は正常細胞とがん細胞の相違点(抗原性)を見つけその部分を選択的に攻撃する必要があるが、がん細胞は巧妙に正常細胞に似せてカモフラージュするので攻撃しにくい

・従来の抗がん剤は細胞分裂の盛んながん細胞を攻撃するが、正常細胞でも白血球や腸粘膜のように細胞分裂が盛んな部位も攻撃され副作用が避けられないため、必要十分な量の抗がん剤を投与できないことが多い

・がん治療の基本は手術によるがん組織の切除だが、臓器の機能に障害を来すために十分に切除できないことがある

・がんの最大の外的因子は喫煙だが禁煙することは困難である

以上のことからがんの撲滅や克服というのは適当ではないように思うのです。

男性の5割、女性の3割が一生の間にがんを発症します。がんで重要なのはやはり発症頻度の高いがんの順番に1年に1回検診を受けることにつきるでしょう。具体的には、大腸がん、胃がん、乳がん、肺がん、子宮頚がんが頻度の高いがんです。

40歳を過ぎたら年1回のがん検診を欠かさず受けましょう。

2009年11月 1日 (日)

低いがん検診受診率

過去2年間のがん検診受診率は3割台と低迷しているとのことです。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091101-00000030-san-soci

特定検診についても特に症状が無いので受けないという方が多くいらっしゃいます。

日本では一生の間に男性で5割、女性で3割程ががんを発症されます。患者さんの多い胃がん、大腸がん、乳がんは8割の方は治癒します。すなわちがんを発症されても命を落とすことは少ないのです。

われわれのようながんを専門に診てきた医師にとってのがん検診の目的は、がんをより早期に診断することによりより体に負担の無い治療ー具体的には縮小手術や内視鏡手術でがんを治したいということです。

早期であれば、胃がん、大腸がんはカメラで切除し、乳がんは乳房温存手術で、子宮頚がんは局所切除で治せます。そうすれば入院期間は短く、痛みも少なく、術後の抗がん剤や放射線療法も軽減でき、医療費負担を減らすことができます。

がんは早期では症状を呈しません。症状が出る進行がんや末期がんになる前に診断したいのです。

この20年で日本人の生活習慣は激変し、疾病構造は変わってきました。その変化に健康に対する意識が追いついていないようです。

40歳を過ぎたらぜひ胃の検査(バリウムか胃カメラ)、便潜血検査ー大腸がん、乳がん検診ー超音波、マンモグラフィー、月1回の自己検査、喫煙者は胸部レントゲンーできれば胸部CT、子宮頸がん検診を毎年お受けになってください。

がん検診を受けていただくのは、がんで死なないためだけではなく小さい負担で治せるうちに診断するためということをお忘れにならないでいただきたいと思います。

2009年10月 3日 (土)

がん死亡の推移  肺がんの脅威

当クリニックのホームページでは医療情報をできるだけ多くご提供しています。しかし、スペースの関係で説明が十分できていないことを痛感しています。

このブログでは新しい情報以外にホームページと連動して理解していただきやすいように解説を加えたいと思います。

まず、当クリニックが力を入れているがんの早期発見の重要性について

以下のグラフをご覧ください。男女共に肺がん、大腸がんの死亡数の伸びが目立ちます。特に肺がんは増加率が大きいのがお分かりいただけると思います。女性の肺がん死亡数が第一位になるのは、そう遠くないと言われています。

Photo_2

Photo_3

年間に約7万人の方たちが肺がんで命を落とされるわけです。現状のままでは2015年には肺がん死は12万人になると予想されています。

肺がん発症の最大の原因は喫煙です。世界的に見て日本は喫煙率が高く、特に若年層の喫煙は今後の肺がん増加に拍車を掛けると考えられています。

がん死を減らすには早期発見と発症予防が重要です。

肺がん、胃がん、乳がん、子宮頸がんは十分予防することができるがんです。次回はそれぞれのがんの具体的な予防法について考えて見ましょう。